NO END SUMMER

NO END SUMMER

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ミルキー・ウェイ

2017-07-25

職人による知られざる奇跡の名盤その1。それこそ全曲リコメンドしたいくらいに。映画「避暑地の恋」のテーマとしてスタンダード化したA①。ユキとヒデ(出門英 / ヒデとロザンナ)が歌っていた渡辺貞夫作のボサノヴァB①。さらにアントニオ・カルロス・ジョビンの代表曲A②、ナタリー・コールの定番ラテン・グルーヴ「La Costa」をリメイクしたA③、ボズ・スギャッグスA④やニック・デカロB②(スティーブン・ビショップ作)といったAORチューンまでもが、研ぎ澄まされた日本語カヴァーとして甦る。すべてに共通するのは、ほのかなトロピカル・ブリーズとレイジーなシエスタ感覚。オリジナルもゆるいソフト・ロックや空の碧さに溶けいるメロウ・フローターに仕上がった。シルキーなコーラスはサウンドをニートに煌めかせる。オマケに浅井慎平のジャケット・フォト、ライナー代わりに片岡義男のショート・ストーリーなど、小道具も揃って。ふと気付けば、A面はside one、B面はside one [continue]の表記。きっとこれは彼らの夏への想いなのだろう。
ミルキー・ウェイは、信田かずおと松下まこと(誠)という音楽学校の師弟コンビから成る。2人ともアレンジャーやスタジオ・ミュージシャンとして活躍するだけあり、この匿名的ユニットでもサラリと持ち味を発揮。松下にとっては2年後のソロ・デビュー作「FIRST LIGHT」や、現在活動中のアカペラ・グループ Breath by Breathを率いる原点とも。83年にリイシュー盤がある。 (金澤寿和)

 

& 【NO END SUMMER’S CHOICE】

◎B④ サマー・タイム・ラブソング / ◯B⑤ 限りなき夏