NO END SUMMER

NO END SUMMER

/

国分友里恵

2017-06-02

吉田美奈子〜大貫妙子〜竹内まりや〜EPOと続く、RCAシスターズの系譜。プロデュース by 林哲司というのもそれっぽく。でも中身はAORや売れ線ポップスではなく、より本格的なブラック・コンテンポラリー・サウンド。それもE.W.&F.やクインシー・ジョーンズ、シック、ナラダ・マイケル・ウォルデン辺りを通過した、ハイブリッドでダンサブルなアーバン・ファンクで。林メロディが冴えるのは、キャッチーなサビのグルーヴィー・ポップスA②、同じ手際の松原みきを思い出させるB④。この頃、山下達郎バンドにいた野力奏一(kyd)は、同僚の伊藤広規(b)や青山純(ds)を率いて、ソリッドなファンク・トラックA①をクリエイトしている。UGUISS時代の佐橋佳幸も、ロマンティックなトワイライト・チューンA③でセンスを発揮。今剛のギターがスウェイ・ビートをざっくりカットしていくA⑤、腰が座った大橋純子風のミディアム・ダンサーB①は、共に佐藤健のペンによるもの。ズバ抜けたキラー・チューンこそないが、バラードを含めて一様にクオリティが高い。

元々、大御所ジャズ・シンガー : マーサ三宅の下でヴォーカル講師をつとめ、更にセッション現場で鍛え上げたほどのスキル。鳴瀬喜博のバンドで歌ったのち、82年にはジョージ・デュークに乞われて、日本ツアーに同行した。名が通るのは本作直後の角松敏生とのデュエット「さよならは愛の言葉(It’s Hard To Say Good-bye)」から。サラッと流れるようで、不思議と芯が残る歌声が個性的。 (金澤寿和)

 

& 【NO END SUMMER’S CHOICE】

◯B③ パーティーにひとり