NO END SUMMER

NO END SUMMER

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RECOMMEND

浜田金吾

MUGSHOT (83年)

Recommend Track
◎A① GATSBY WOMAN / ◎A② TROPICAL FISH / ◎A③ RAINY HEART / B① GIRLS

黒のバックに写真用の現像液を入れる赤いトレイ、そこには彼のモノクロ写真が一枚…。シャープなコントラストのジャケットがパッと目を惹く、通算5枚目。松下誠をはじめ、佐藤博や鈴木茂、林立夫といった名うての凄腕ミュージシャンたちのアーバナイズされた演奏。一度聴いたら忘れられない、スタンダードのように染み渡ってくるメロディ。優しく乾いたその歌声。すべてが絶妙に絡み合ったその瞬間、素晴らしきKingo Soundが昇り立つ。ズバリ、シンガー、メロディメイカー、そしてサウンド・クリエイターとしての魅力が集約された、彼の代表アルバムと言い切ってしまおう。

シングル・カットのA①は、映画化になったフィッツジェラルドの名作「華麗なるギャツビー」を連想させる、別離のシーンを歌ったポップ・ナンバー。けれど、ウェット感は全然なく、その軽快なメロディはまばゆい輝きを放ち、鮮烈な印象を与えてくれる。水面がキラキラと輝くようなウインドチャイムの音だけでひと夏のシーンが目に浮かぶ、スタイリッシュなリゾート・チューンA②。ホーン・セクションをフィーチャーしたアーバン・グルーヴA③は、雨の中の別れを歌った切ない曲。共にアレンジは佐藤博の手によるもの。そして、どアタマのコーラスからグイグイっと引き込まれるB①。煌めく都会のネオンの下で繰り広げられる刹那的な愛のワンシーン。こんなビターな恋愛模様をクールに歌ってのける彼の声が、日常に疲弊した心のひだの奥底までじわんと染みてくるよう…。(えこりん・まつい)

 

& 【NO END SUMMER’S CHOICE】

◯B➅ GOOD LUCK CITY ROMANCE / ◎B⑧ INK-BLUE NO YOAKE

浜田金吾

Gentle Travelin' (81年)

Recommend Track
A① Portrait Woman / ◎A② Liston, Baby

デビュー作はバニー・マニロウのスタッフを起用したニューヨーク録音。一転してこのセカンドは、作詞に松本隆、バックに盟友:松下誠や鈴木茂が参加した日本制作盤。しかし彼自身のサウンド・アイデンティティが確立したのはここから。A①が流れだした途端、日本人好みのメロディにAOR的アーバナイズを同伴させた独特の空気感が広がる。レーベルメイトの山下達郎と共通するノーザン・ソウル・インフルエンスは、康 珍化の詞も冴えるA②に表出。これぞ金吾流ライトメロウ。 (金澤寿和)

& 【NO END SUMMER’S CHOICE】
B②避暑地の出来事 / ◯B③ Bedside Moon

AB’S

AB'S (83年)

Recommend Track
◎A① DEJA VU / ◎A④ FILL THE SAIL / B② IN THE CITY NIGHT / B③ GIRL

芳野藤丸・松下誠のギタリスト2人と渡辺直樹・岡本敦男のスペクトラム・リズム陣、kydの安藤芳彦で結成された名ユニットのファースト。ストイックに刻むミディアム・グルーヴが鳥肌モノのクールネスを醸すA①。その鮮烈さはUKクラブ・チャートをも賑わした。B②、③はウェットなメロディーが織り込まれたミディアム・メロウ。そしてA④は、藤丸流メロウ・ファンクの真骨頂。軽やかなギターのカッティング、心地よい重みと粘りを含んだリズムが強固なグルーヴを繰り出す。(波多野寛昭)

& 【NO END SUMMER’S CHOICE】

◯A② Dee-Dee-Phone

芳野藤丸

YOSHINO FUJIMAL (82年)

Recommend Track
◎A① WHO ARE YOU?/ A② MIDNIGHT PLUS 1 / A④ FREE WAY 5 TO SOUTH / ◯B① GIRL'S IN LOVE WITH ME

SHOGUN解散後のファースト・ソロにして、シティ・ポップス史に残すべき屈指の名盤。それこそ、山下達郎や角松敏生と並べてしまいたいくらいに。サウンド・クリエイターの才覚は言うに及ばず、シンガーとしても独特の男臭さ、ダンディズムを見に纏う。ホントはフロントに立っても充分絵になるが、バンドマン暮らしが長かったためか、どうも裏方に向かいがち。スペース・バンドを皮切りに、藤丸バンド〜ワン・ライン・バンド〜SHOGUN、そして本作を機に結成されたAB’S。今も続く西城秀樹のサポート・ワークも忘れられない。こうしたキャリアの基本が、まろやかなトーンでワン&オンリーのスウィング感を放つリズム・ギター。そんなところにも達郎や角松との共通項が。“優れたクリエイターはギター・カッティングに向かう”ってか。
A面をデイタイム、B面をナイトタイムに分けるのは、割とありがちなフォーマット。が、冷静なのはそこまで。小気味好く弾むビートに藤丸の粋なヴォーカルが乗る頃は、もう尻が宙へ浮いている。勿体ぶっての登場は、桑名晴子の灼けた歌声。このデュエットA①は、まさにいきなりのサドゥン・キラー。更にアーバン・ドライヴァーA②が追い打ちをかける。シフトを落としてのA④では、藤丸印のギター・ワークとAB’Sトリオ(藤丸、渡辺直樹、松下誠)の奥行きあるハーモニーが抜群の完成度。哀愁漂うB①は、ちょっぴり達郎のミディアムに通じる味がある。男が素直に音に陶酔できる類い稀な逸品。 (金澤寿和)

藤丸バンド

BGM (77年)

Recommend Track
A① ハイウェイ / ◎A② 雑踏の中で / ◎B④ I kow it's gonna last

キャプテンひろ(つのだひろ)&スペース・バンドを経て、西城秀樹のバック・バンドでバンマスを務めていた芳野藤丸が、グループを率いて発表したアルバム。メンバーは秀樹バンドそのままで、実質的には藤丸の初リーダー作品といえる。ロック、ポップ、ソウル、ファンク、フュージョン、ジャズ、ボサノヴァなどの影響をソフィスティケイトし、かつオリジナリティ溢れるサウンドに仕立てた“名盤”の名にふさわしい珠玉の楽曲集。だからいつ聴いても新鮮な魅力に溢れているし、そのヴァイブレーションは至福の時を与えてくれる。とても美味しいスィーツとお茶を頂く時のような。

オープニングを飾るA①は、ラウンジ感覚いっぱいの魅力的サウダージ。イントロから鳴り出す甘美なサウンドに胸キュン。ここに藤丸さんの艶っぽいギターやダンディーな歌声が乗ると、もう女性なら引き込まれずにはいられない。素敵に抑制を効かせたクール・グルーヴA②でも、やっぱり彼の瑞々しい歌が心に安らぎを運んでくれる。流麗なストリングスや軽やかなエレピ、イントロの若々しいスキャットだってとってもクール。ポップ&ファンキーなB④では、小気味良いホーン・セクションのアンサンブルが聴き逃せないし。当時の藤丸さんは、セルジオ・メンデス&ブラジル66に代表されるA&M〜CTI系のハイブリッドな音に感化されていたそうだけど、その洗練されたクリエイターぶりが、もう圧巻過ぎます。(えこりん・まつい)

 

& 【NO END SUMMER’S CHOICE】

◎A④ 避暑地の出来事 / ◯B③ Don’t Ever Say Good-bye To The Sun

国分友里恵

RELIEF 72 HOURS (83年)

Recommend Track
A① スノッブな夜へ / ◎A② 恋の横顔 / ◯A③ Weekend Love / A⑤ とばしてTaxi Man / B① 回転扉 / ◎B④ Just a Joke

吉田美奈子〜大貫妙子〜竹内まりや〜EPOと続く、RCAシスターズの系譜。プロデュース by 林哲司というのもそれっぽく。でも中身はAORや売れ線ポップスではなく、より本格的なブラック・コンテンポラリー・サウンド。それもE.W.&F.やクインシー・ジョーンズ、シック、ナラダ・マイケル・ウォルデン辺りを通過した、ハイブリッドでダンサブルなアーバン・ファンクで。林メロディが冴えるのは、キャッチーなサビのグルーヴィー・ポップスA②、同じ手際の松原みきを思い出させるB④。この頃、山下達郎バンドにいた野力奏一(kyd)は、同僚の伊藤広規(b)や青山純(ds)を率いて、ソリッドなファンク・トラックA①をクリエイトしている。UGUISS時代の佐橋佳幸も、ロマンティックなトワイライト・チューンA③でセンスを発揮。今剛のギターがスウェイ・ビートをざっくりカットしていくA⑤、腰が座った大橋純子風のミディアム・ダンサーB①は、共に佐藤健のペンによるもの。ズバ抜けたキラー・チューンこそないが、バラードを含めて一様にクオリティが高い。

元々、大御所ジャズ・シンガー : マーサ三宅の下でヴォーカル講師をつとめ、更にセッション現場で鍛え上げたほどのスキル。鳴瀬喜博のバンドで歌ったのち、82年にはジョージ・デュークに乞われて、日本ツアーに同行した。名が通るのは本作直後の角松敏生とのデュエット「さよならは愛の言葉(It’s Hard To Say Good-bye)」から。サラッと流れるようで、不思議と芯が残る歌声が個性的。 (金澤寿和)

 

& 【NO END SUMMER’S CHOICE】

◯B③ パーティーにひとり

EPO

DOWN TOWN (80年)

Recommend Track
◯A① DOWN TOWN / A④ 日曜はベルが鳴る前に / ◎B② アスファルト・ひとり / B③ 言い訳はしないけど

竹内まりやなどのコーラスでキャリアを重ね、満を持してデビューしたEPO。シュガー・ベイブの名曲を冠し、山下達郎も参加したこの1作目は、洗練されたポップ・センスで多くのリスナーに鮮烈な印象を与えた。そのカヴァーA①は清々しく軽快なリズムを刻み、ある意味、ガレージ・バンド的なオリジナルを凌いだと言えそう。ポップ・チューンではライトなスウェイ・ナンバーA④、ハネるビートが心地よいB②耳に残るが、オールディーズ調のミディアム・バラードB③も魅力的。 (えこりん・まつい)

 

&【NO END SUMMER’S CHOICE】

◯A③ クラクション

G.RINA

Lotta Love(15年)

Recommend Track
② 音に抱かれて/◎③ kamakura/○⑤ Virtual Intimacy/○⑦ Back In Love (Music)/◎⑧ Sweet Juicy Luv/○⑨ 空蝉〜Twilight Long Walk〜

詩も曲も書けて歌もラップも出来る、更にはDJも演奏もトラックメイクまでも全て一人でこなしてしまうという新世代のシンガーソングビートメイカーによる5年振りの5枚目。KASHIFのギターが小気味良い②「音に抱かれて」、同じくKASHIFが道先案内人に扮するキャッチーな鎌倉旅行推奨ソング◎③「kamakura」そうだ、鎌倉へ行こう! イントロのキーボードのフレーズが印象的な○⑤「Virtual Intimacy」、Sweetest TabooなメロディとAnother Manなリズムが遠くから聴こえてくるPUNPEEのフロウもご機嫌の○⑦「Back In Love (Music)」、LUVRAWのトークボックスが最高にスウィートなジューシィフルーツ◎⑧「Sweet Juicy Luv」ここでもKASHIFのギターが泣いている。天の邪鬼を演じる少女が秀逸なメロディを口ずさむ○⑨「空蝉〜Twilight Long Walk〜」等、良曲多しの充実作。

【D.S.M.R】

HITOMITOI

THE MEMORY HOTEL(15年)

Recommend Track
○② The Memory Hotel/◎③ その目は、Hypnotic/○⑦ Mon Fatar Amour/○⑧ カナリア気分で/⑩ Labirinth〜風の街で〜

ネオシティポップ界の歌姫による待望の最新作は「2012年のawakening」と名高い名盤[CITY DIVE]を共に作り出した流線形のクニモンド瀧口、DORIAN、KASHIF等のフルメンバーが参加。憂いに帯びたなんとも印象的な佇ずまいの美麗なジャケは“Mr.Summertime”こと弓削氏による匠の技。自身の新作と同じ肌触りなDORIAN作のタイトル曲○②「The Memory Hotel」メランコリックなコラージュ感で少しミステリアスなホテルにチェックイン。そして今作中でも断トツな出来の◎③「その目は、Hypnotic」メロディ、音使い共にDORIANの天才振りが発揮された最高に踊れる曲。これよ、こういのが一番聴きたいわけ。分かっていただけます? 蜃気楼の中で妖艶に踊る美女が見えてきそうなKASHIF作○⑦「Mon Fatar Amour」、砂漠を歩き廻り疲れ果てた時にやっと出会えたオアシスで、偶然誰かと再会する…などと妄想してしまう○⑧「カナリア気分で」はCystalなアレンジで。ラストはクニモンド瀧口による切ないメロディ⑩「Labirinth〜風の街で〜」でチェックアウト。砂漠のホテルが呼び覚ますあなたの思い出は、何色ですか?

…え?そんなことより私が食べてるものを教えてくれ?「このカレー、Magic Spice!」

【D.S.M.R】

LUVRAW & BTB

HOTEL PACIFICA(11年)

Recommend Track
◎② LBG-GROOVE WITH YOU/③ 太陽のシワザ/○⑥ GIVE ME LITTLE MORE/⑧ PUSSY LIGHT/○⑩ FALLING MORNING BLUE/○12 DELIGHT IN RE-CREATION

夏になると思い出す、チューブを咥えた二人組。残念ながら現在は別々に活動しているが基本的なスタンスはどちらもそれほど変わっていない印象。
前作と同じく味わい深いジャケを彩るのは菱沼彩子女史。
134号線をドライブする時に聴きたいgrooveman Spot作◎②「LBG-GROOVE WITH YOU 」同じくPPP(Pan Pacific Playa)所属の盟友STRINGSBURNことKASHIFのギターが気分を盛り上げる。
昨今のラッパー(MCか?)の中では頭一つ抜け出てるPUNPEEのライミングも軽快な③「太陽のシワザ」、古くはクレモンティーヌもカバーしたCARLTON & THE SHOES稀代の名曲をトークボックスで演じた○⑥「GIVE ME LITTLE MORE」
横浜の夜は午前3時?的テーマソング⑧「PUSSY LIGHT」、彼らには珍しいチルアウト系ど真ん中な○⑩「FALLING MORNING BLUE」で深い深い海の底へと。
最後は再びKASHIFのギターが咽び泣く○12「DELIGHT IN RE-CREATION」で横浜の夜は更けていく…

【D.S.M.R】

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